保育園の受け皿問題で発覚した保育士の人材不足と待遇の低さ。
保育士の待遇について調査を行ってみると、中には手取り10万円前半になる保育士も普通に存在する現状が、日本中の人々に対して明らかとなりました。
その後、待機児童の問題を解決するべく、国を挙げての保育士の待遇改善案がまとめられた結果、保育士の待遇改善についての声はニュースでもほとんど見かけなくなりました。
しかし、ここで1つの疑問がわきます。
あれだけ騒がれた保育士の待遇は、本当に上がったのか?という疑問です。
保育士の待遇は上がったのか?求人内容や現状を観察した結果
まずは待機児童を減らすという目的を達成するために、保育所は全国いたるところで建設・開園ラッシュが続いています。
一方で、保育士の頭数はまだまだ足りていないようで、保育士の求人数は全国平均で1人当たりにつき約2倍と、売り手市場に変わりありません。
次に、求人内容を見てみるとどうでしょうか?
独自の補助金政策を行う都市部では、20万円を余裕で超える給与設定の保育園も多数見つけられます。
職場の雰囲気や運営方針、現場の状況などは入ってみなければわからない所もあります。
求人内容を見ただけですと、改善している地方もありますね。
しかし、現場で働く保育士の声を聞くと、次のようなネガティブな発言が目立ちます。
「待遇はほとんど変わっていない。」
「変わらず苦しい状況が続いている。」
「ちょっと待遇を上げただけで保育士が増えるとは思えない。」
現場で働く保育士さんたち目線では、お給料がわずか数千円~数万円増えただけでは簡単に人は増えないし、保育所が人材不足で現場がバタバタしている現状は変わらないと言っています。
ですが、ここで一度振り返ってほしいことがあります。
保育業界に対しては、政府が処遇改善を行うための支援を追加で行ったのは事実です。
その上、東京以外の地方でも独自に行っている支援もあり、東京のような限られた地域のみが年収アップしていて、他の地方の保育士待遇がほとんど変わらないというのはおかしな話です。
さらに、保育士への処遇にのみお金を出す政府の対応を見た他の業界の人からは、「保育士だけ特別扱いでズルい!」という声まで出ています。
決して少額とは言えない金額を保育士の待遇改善へ投入したのですから、保育士から「何も変わらない」という声が出るのは、やはりおかしい。
そんな疑問に対する答えがないかと探していた時、ある保育園園長先生の書き込みが目に入りました。
ある保育園園長の保育士待遇の現実「前例がないくらい待遇は上がっている」
その保育園園長先生が何を書き込んだのかといいますと、簡単にいうと現在の保育士の待遇は前例がないほど上がっているという話でした。
現に、末端の新人保育士でも年収300万円ほどはもらっており、20代でも処遇改善の対象になれば、350万円オーバーになるのだとか。
この数値だけを見ると、場合によっては他業種の製造業・サービス業・福祉業の方が保育士の年収よりも低くなるケースも出てきます。
しかし、ここで問題になるのが、分配システムの内容です。
実は、今のシステムでは経営者が保育士へ支払うべき補助金を簡単に偽装できます。
国が保育士に対して支払っている給与明細を逐一チェックしているわけではないので、全ては経営者の意識の問題となってしまっているのです。
解決策としては、例えば国に対して「きちんと従業員へお金を支払いましたよ~」という証拠となる源泉徴収書などを提出する義務などあれば、給料の支払いに不備が無いかが確認できます。
ただ、今はそのようなシステムが組まれていません。
そのため、保育士である自分が正当な対価を受け取るためには、国の指示に従い、保育士へ労働の対価を支払う善良な保育園を自ら見つけ出すしかありません。
保育士の待遇が良いか悪いかは、経営者の意識にかかっている
さきほど申し上げたように、国が指定する処遇改善Ⅰ、処遇改善Ⅱをもとに、現場で働く保育士にお金を分配していれば確実に保育士の待遇は上がっているはずです。
それなのに、「ほとんど給料が変わらない。」「勤続年数も長いのに、処遇改善されたとは思えない。」と感じるのであれば、それは間違いなく経営者の不正行為が働いている証拠といえます。
もちろん、保育園を経営する側にも、さまざまな理由があるかもしれません。
しかし、末端の保育士にとってみれば、どのような原因があれ、勝手に自分のもらうべき給与を下げられているのは納得がいきませんよね?
非常に残念ではありますが、保育士の待遇が良いか悪いかは、経営サイドの人間の意識の高さにかかっています。
もし、あなたが客観的に見ても「待遇が悪すぎる!」「手取りが働きに対して見あっていないのでは・・・?」と感じるようであれば、別の保育園へ保育士の転職を考えるべきでしょう。
今や保育所は開園ラッシュで、子供を預ける利用者側から見ても「当たり外れが大きい」と感じているほど、保育園によって違いに開きがあります。
保育士は引く手あまたの貴重な存在。自分のキャリアのためにも、「理想の保育所を作りたい!」と考えている経営者のためにも、あなたがより良い環境を求めるのは業界にとってプラスに働くのは間違いないのですから。
「保育士が苦しいのは当たり前」な時代はもう終わったって知ってます?保育士も二極化の時代に乗り遅れるな!
これまで「保育士が[キツイ・汚い・安い]の三重苦の仕事なのは当たり前」と見られる風潮がありましたが、すでに保育業界も二極化の時代に突入しています。
もう少し詳しく言うと、「辛くて給料安いのは当たり前だから」と当然のように保育士の待遇が悪いままにしている保育施設と、「働く環境を整えなければ、将来のための良い保育も出来ないし、保育士も育たない!」と考え、積極的に待遇改善へと動く事業者に分かれてきているのです。
保育園も、内外両方から見て魅力ある「本物の保育所」だけが選ばれる時代がやってきているのです。
この流れは今後ますます強くなっていくことは明白です。
つまり、あなたが今、自分の待遇や職場環境に大きな不満があっても、その場にとどまり続けていては、苦しい状況はずっと続くのです。
一方で、就職で良い職場に入れた保育士さんや、自分に合う保育所を探している人には、明るい未来を掴み取る可能性があります。
もし、あなたが今の環境に不満を持っていたり、これから保育士になろうと考えているのであれば、真剣に自分にマッチした保育士求人を探してみてはいかがでしょうか?
他の保育所に転職して、余裕を持って働いている保育士さんも大勢います。
あなたのちょっとした行動一つが、あなた自身の人生を大きく変えるキッカケとなるかもしれません。
保育士求人の現状と転職業界の真実(現役保育者・保育士になりたい人へ)