保育士といえば、近年保育園内での幼児虐待や補助金を巡っての金銭的な汚職事件、さらには保育所等で働く保育士の給与・職場環境の問題などなど、その実態が浮き彫りになってきています。
その反面、保育士の資格を取得している方は、保育という仕事が好きで、誇りをもって続けたいと考える人が多いのも事実です。
「労働環境や賃金等の雇用条件が問題点としてあるけれど、できれば保育の仕事に携わっていきたい・・・。」
そんな保育士として充実した人生を送るための重要な選択肢として今、転職活動が大きく注目を浴びています。
転職活動が注目を浴びる理由は「今より良い職場で働けること」にあります。
しかし、だからと言って、みんなが皆希望通りの転職に成功しているかと言えば、そうでもない人も大勢いるのが現状です。
そこで、ここでは保育士の置かれている現状、保育士が保育士を続けたくても離職してしまう理由についてまとめた後、なぜ転職が今になって脚光を浴びているのか?
保育士の転職は簡単に成功するものなのか?待遇の良い求人募集に巡り合えるようなことはあるのか?
転職・再就職の失敗例・成功例を交えながら、保育士の求人事情・転職業界の本当の所についてまとめました。
保育士求人の現状・問題点 続けたいのに離職してしまう理由は転職したいから?
(参考・東京都保育士実態調査(報告書)http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2014/04/DATA/60o4s201.pdf)
上の画像は、保育士の退職理由についてのリサーチ結果です。
図の一番左側の「妊娠・出産」は保育士を辞める理由としては問題ありませんが、注目すべきはそれ以外の退職理由です。
まず、「妊娠・出産」と同じく高い割合に推移している退職原因「給料が安い」。
保育士が給与の安さを理由に辞職している割合は、なんと25%です。
辞めた保育士の実に4人に1人が、給料の安さに不満を抱いていることになります。
次に、「職場の人間関係」「仕事量が多い」が共に20パーセント以上をマークしています。
さらに続いて「労働時間が長い」「健康上の理由(体力含む)」がランクインしていることからも、保育士さんの労働環境が酷い保育施設がいかに多いかが伺えます。
職場の人間関係では、園長先生をはじめとした経営陣からのパワハラ、先輩保育士からのいじめや嫌がらせ、相談に全くのってくれないという不満が多いです。
ちなみに、保育士の退職理由として「他業種への興味」は14,7%に留まっています。
他の退職理由と比較すると低いように感じられます。ただ、この「他業種への興味」を持つ理由として、保育所での不満から逃れたいという想いから発展しているケースも見受けられます。
保育士の求人を探す前に、「おそらく保育園で待遇の良い求人募集はないだろう」と諦めている人もいるかもしれません。
「保育士の仕事は好き!だけど待遇の良い求人が見つからない…」他業種への転職を希望する人は少ない
(参考・東京都保育士実態調査(報告書)http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2014/04/DATA/60o4s201.pdf)
さきほどの図で、保育士が退職する理由として「他業種への興味」の割合が低いということが分かりました。
そこで、さらに保育士さんを対象に「再就職時の希望条件」をアンケートで答えていただいたところ、なんと「どのような条件でも保育士として働くつもり はない」と答えた方はわずか3.8%という結果になっています。
これは、保育士の資格を持つ人が、いかに保育の仕事が好きなのか、保育士としての仕事にやりがい・誇りを持っているのかが良くわかるデータです。
そこまで不満のない待遇や職場環境の良い求人募集があれば、みんな保育士の仕事がやりたいのです。
私的な話になりますが、私の親族・友人にも保育士や福祉の仕事に携わる方がいますが、皆共通点があります。
それは、「保育・福祉」の仕事が本当に好き、または大きなやりがいを持っているということです。
「雇用条件が良い職場を見つけるのは難しいけれど、できる限りは今の仕事を続けたい。」
福祉業界では、そうした志の高い気持ちを持っている素晴らしい方によく出会いました。
保育士が辞める隠れた原因・・・保育施設の運営方針に疑問を抱く声が多い
ここで話を元に戻しますが、上の図の再就職希望条件として高い比率をキープしている条件が「勤務日数」「勤務時間」「雇用形態」「給与等」です。
この点については、冒頭の「保育士退職理由」の図でも予想がつくことと思います。
その他で、意外に多かった希望条件が「施設の運営方針への納得感」です。
最近テレビでも大きく話題を呼んだ保育園に通う児童・幼児への虐待事件もそうでしたが、保育所運営側のやり方に疑問を抱く保育士さんも多いです。
私の身内の保育や福祉事業に対する想いを聞いた時は、正直に素晴らしいと思いました。実際、保育や福祉といった仕事を選ぶ人は志が高い人、他人への思いやりがある人が多いです。
だからこそ、施設の運営方針や職場内の雰囲気が酷いと、現実とのギャップに幻滅。結果、辞職してしまうのも納得できます。
いくら保育士の求人内容が魅力あるものでも、虐待や差別を当たり前のように行う子ども園では、保育士が働きたいとは思わないのは当然です。
保育士が自分の理想的な保育士人生を送るのはムリ!?
(参考・東京都保育士実態調査(報告書)http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2014/04/DATA/60o4s201.pdf)
上の画像は、保育士資格を取得した理由についてのアンケート結果です。
保育士資格を取得した50%以上が「子供と接することが好きだったから」、18%が「保育士に興味があったから」、15%が「あこがれの職業だったから」と答えています。
このデータからも明らかになっている通り、保育士としての仕事に憧れ、希望したからこそ、保育の勉強をしてきたのであって、本当は保育士が嫌だから辞めたいのではないのです。
もし、あなたが保育士資格をお持ちであれば、その気持ちは痛いほどよくお分かりなのではないかと思います。
「職場の人間関係が辛い」
「園長先生は相談にのってくれず、先輩からの威圧や嫌がらせがキツクてノイローゼになりそう」
「毎日の仕事量が多すぎて大変」
「残業、持ち帰り仕事は当たり前で、体がもたない」
「休みが少なすぎる」
「低賃金で、生活するのも苦しいレベル」
「副業しないと、とてもやっていけない」
このような厳しい現状に嘆いている保育士さんはたくさんいます。
それはインターネットの掲示板などを見ても明らかでしょう。
「それでは、保育士として満足した人生を送ることはムリなの?」
現場で揉まれながら毎日働く保育士さんの中には、そう思う人もいると思います。
しかし、今後もずっとそのような待遇が続くかといえば、そうは思えません。
むしろ、真面目に働く保育士さんの待遇はどんどん上がっていくことが予想できます。
なぜ、そんなことが断言できるのか?
それは、次の図や国の政策について見ていけば納得できます。
保育士求人のこれから 有資格者は引く手あまたの人材取り合い合戦に
(参考:保育所等関連状況取りまとめ(平成29年4月1日)<本体>
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000176121.pdf)
保育施設は、国の政策で補助金が出ることもあり建設ラッシュが全国的に発生しています。
新たに法律で作られた認定こども園なども含めると、保育所がものすごいスピードで増えている事が分かります。
保育所等定員は前年比10%の増加。これは今までにない驚異的なスピードです。
あなたも町のあちこちで新たに保育施設が建設されている風景を見たことがあるのではないでしょうか?
国が本腰で力を入れると、何か抵抗する力があったとしても、あっという間に政策は進んでしまうのです。
さて、ここで懸念されている問題が保育園で働ける保育士の確保です。
現役で働いている保育士資格を持つ保育士さんが圧倒的に少ないため、保育士資格を持っているのに保育所で働いていない人、通称「潜在保育士」の掘り起こしへの取り組みが行われているのです。
現在、待機児童問題が一番深刻な東京が、保育士優遇措置として最低賃金を上げる、勤務年数の長い保育士の賃金を上げる、また新たな保育業界の新たな資格制度を充実させる取り組みを行う、といった政策を行っています。
そして、その他の地方も東京に習い保育士優遇措置をはじめているようですが、実態は保育士資格を持つ人にもあまり知られていないようです。
なかなか保育士が集まらないということで、
「なんとしても保育士を、できればよい人材を自分の保育園に確保したい!」
と、有資格者の育児施設採用に躍起になっている事業者や地方自治体があります。
後述しますが、それら真剣に保育事業に携わっている地方公共団体や保育関係事業者は、優れた保育士の確保のために、保育士の求人内容に手厚い待遇を準備するなどの行動を行っているのです。
そのような状況は今に始まったことではありません。しかし、保育士の需要・供給のバランスは、おそらく今後さらに深刻になっていくものと思われます。
また、保育士の求人内容の待遇の悪さ、保育事業者の不正やブラック企業体質が明るみになった現在、保育士の求人事情に新たな風が起こっています。
多くの保育士有資格者がが就職をあきらめ、潜在保育士として残るようになったため、保育園の運営者側も利用者・従業員両方が満足できる保育園を作らなければならないということをようやく分かってきたのです。
「職場環境が悪い、雰囲気が悪い、保育園の事業に対する方針が疑問・・・」
そういった問題のある保育園に保育士は集まるどころか逃げていき、逆に運営者がしっかりした良い保育園には、保育士の満足度も高く離職率も大幅に減っていくでしょう。
保育士の求人内容の変化 待遇改善はこれから
テレビでは東京の政策ばかりが目立つ保育事業の支援ですが、地方都市でも保育士確保のため優遇政策を本格的にはじめている地区もあります。
例えば、兵庫県明石市では、「保育士になるなら明石市へ-待遇を充実させました-」というテーマで、自分の地区で働いてくれる保育士を以下の優遇政策を準備して募集しています。
1.保育士のお子さんを優先的に保育所に入所していただけます
2.就職一時金を最大30万円支給します―県内初―
3.家賃負担を月額最大82,000円軽減―県内初―
4.保育士の給与改善を支援します
5.その他
参考:https://www.city.akashi.lg.jp/kodomo/taikijidou/201611_kakujyu.html
兵庫県明石市は、保育料軽減の拡充や子育て政策の推進により、子供を持つ親の転入・出生数が予想をはるかに超える勢いで大幅に増加している、今どき珍しい現象が起こっている地域です。
その結果、待機児童数も増えているのですが、同時に保育士を何とか確保しようと市を挙げて保育士さんを応援してくれています。
待遇の良い求人内容で就職でき、保育士として働くことに周りから感謝されながら、自分の大好きな仕事を続けられる・・・
保育士の求人内容は、今後さらに量が増えていきますが、同時に質が高い求人の量も増えていくはずです。
これからの保育士は、自分のことを歓迎してくれる保育園、のびのびと子供と携わる仕事ができる環境を選ぶべきなのです。
良い職場・良い環境を知らずにドロップアウトしてしまう保育士
以前、ツイッターをはじめとしたSNSで
「潜在保育士だけれど、もう掘り起こさないでください・・・。」
と、保育士の置かれている現状に嘆き、現場を退いている元保育士さんのつぶやきが公開されていたことがあります。
このようなネガティブなコメントを残した原因ですが、
「高給で雇われている保育士は公務員だけで、民間は全てダメだ、保育士で働くことはデメリットばかりでメリットなんかない!」
という価値観が頭の中に定着してしまっていたようです。
確かに、民間ではデメリットばかり目立つ環境の中、しんどい辛い思いをしながら働いている保育士さんは多いです。
しかし、隠れたところで好待遇の雇用条件の中、のびのびと働いている保育士さんの存在を知らないというのも、また事実なのです。
保育士として充実した人生を送るには、良い保育園に就職する
「良い保育園に転職って・・・簡単に言うけど、現実問題難しいよ?」
「そんなことは分かっている!でも無理だから悩んでいるんじゃないですか!!」
そんな悲痛の叫びが聞こえてきそうですが、少しだけ我慢して聞いていただきたいことがあります。
国も補助金を出そうという声を聞き始めている。
保育業界の改善に積極的な市は、進んで政策を始めている。
保育施設は増え続けるので、保育士資格を持つ人は引っ張りだこ。
本来、これほどの条件がそろっていれば、劣悪な環境で働く必要はないはずです。
むしろ、この状況で、保育士の人材が安く買い叩かれている現状は異常であると判断できます。
ただ、保育士の待遇が改善されない原因の一つとして、今は保育施設の増加が爆発的なところもあり、職場環境の悪い保育園、通称「ブラック保育園」が表にあまり出てきていないという問題もあります。
優秀な保育士の確保ができず、まともに運営することが難しい保育園。
経営者・園長先生が目先の利益優先で、子供や親御さんとしっかり向き合っていない保育園。
補助金目当てで安易に設立した保育園も同時に増えることは、転職する際には覚悟しておかなければならない点の1つです。
しかし、逆に言えば、市と連携して保育業界の問題に真剣に取り組む保育施設にさえ入ることができればよいのです。
待遇に大きな不満を持つこともなく、職場環境で大きく悩む必要もなく、充実した保育士人生を送ることができるのは想像に難しくありません。
一度目をつぶって楽しく働く自分の姿を頭の中に思い浮かべてみてください。
今、休憩の時間もまともに取れないような、サービス残業が当たり前のような、そんな労働環境で忙殺していたら、もうそんな理想的な自分の姿すら忘れてしまっていたかもしれません。
一度ひどい職場に入ってしまうと
「それが当たり前なんだ」
「自分の目指した夢は幻想で、諦めなければならないんだ」
と、置かれた状況を真っ直ぐに受けとめてしまうのは、真面目な保育士さんにはよくある話です。
本当は補助金を正しく使い、預けられた子供たち・保育士両方の事を考えながら運営しようと心がけている保育所もあるにもかかわらず、です。
そんなにうまく保育士が転職で成功できるのか?という不安
そこで、今注目されているのが保育士さん専門の転職サービスです。
今後も増え続ける保育施設の中から、自分の希望する雇用条件にマッチした保育園の求人を無料で探してくれるサービスが脚光を浴びているのです。
保育士専門の転職サイトの中には、「保育施設ごとに離職率をデータ化」して、おすすめできそうな保育施設の求人募集を紹介するよう努めている企業もあります。
国や地方自治体としても、これ以上離職が大量に発生して保育業界の評判が下がってしまうのは避けたいところです。
また、こうした保育転職サービスを行っている会社は、厚生労働省から認定を受けています。
あまりに下手な保育士求人の仲介をすれば、インターネットを介して大きな批判の的になりますし、保育士転職サービス側からしても変な求人募集の紹介はしたくないはずです。
「でも、だからといって、保育士が簡単に理想的な保育園へ転職できるの?」
答えはノーです。
「えっ!?でも離職率データを蓄積したり、下手な求人募集は紹介したがらないんじゃなかったの?」
もちろんその通りです。
その通りなのですが、それは保育士以前に、少なからず日本の転職業界全体の問題もあります。
次に、保育士を含めた日本企業の現状から見た、保育士の転職成功率について解説していきます。
日本企業は転職してもブラックばかり!?ホワイト企業って何だろう?
「ブラック企業」という言葉が世間に広まって随分経過しますが、未だに「給料が少ないのに重労働」「報酬と労働の対価に納得できない」という声は全くと言ってよいほどなくなりません。
そう、現代の日本は就職先は数あれど、名前の知れない中小零細企業の中にはブラック企業がひしめいている、という状況なのです。
それどころか、誰もが名前を知る大企業でさえ、過労死や考えられない不正を公に出してしまうくらい、日本企業はボロボロになってしまっています。
昔はバブルで羽振りが良かった時代もあったかもしれません。しかし、今はどこもかしこも不況続きで景気の良い話を聞きません。
国が保育事業に財源を出すのを躊躇するのも、お金が無くなってしまったからではないかと勘繰ってしまうほどです。
保育士業界も、他業種よりも比較的厳しい環境ですが、これと同じ事が言えます。
テレビのニュースであった汚職事件は氷山の一角です。保育園事業を行う企業の中には、ニュースよりもひどい内容の業態になっている保育園もあるでしょう。
その上、先ほど解説しましたように、保育施設の数は爆発的に増え続けています。
しっかりとした保育園事業者が保育事業を拡大している裏で、たくさんのブラック保育園が誕生していることも忘れてはいけません。
今は働き手だけではなくて、ひどい運営者も増加しました。
昔は地域密着が上手くやっていく秘訣だったのかもしれません。しかし、今は国籍も良くわからない誰かがどこからともなく現れて移り住んだり、事業をはじめたり、犯罪を犯したり、ある意味やりたい放題の時代です。
何か問題が明るみに出れば、あっという間に逃げ切って表から消えてしまいます。
そのため、以前にも増して経営者の質も問われている時代なのです。
それは本当にブラック企業なのか?
また、単に給料が少なくて「ウチの会社はブラックで最悪!」、残業がちょっと多いくらいで「ぶらっくブラック!」と言う人もいます。
しかし、それは果たして本当にブラック企業と一括りにできるでしょうか?
例えば、給料が少なくても、定時退社で土日祝日は必ず休めるという会社はそこまで「ブラック!」と断言するわけにはいきません。
毎日が忙しい会社で、残業もありますが、その働きがきちんと給料に還元されて、その上職場の人間関係も良い人が多くて良好だったならば、ストレスは少なくそこそこ充実した社会人生活を送れるでしょう。
その他、小さな企業の中にも経営を賢く行い従業員に利益を還元している会社や、名前が知られていなくても業績が良い「知られざる優良企業」というのは存在します。
しかし、そういった良い会社も、何倍も多いブラック企業によって隠れてしまっているのです。
しがない工場勤務の人がいて、「なんだ工場勤務か」と軽く見ていたら、実は超ホワイト企業で定時退社+高給取りという、あり得ないような形態の会社だった、というようなことはザラにあります。
良い会社は探せば本当にあるのです。
保育園や子ども園の中にも、意外にもこんなところに良い雰囲気の保育園があった、なんていうことがあります。
見つかる前は想像もつかないことですが、一度そのような勤め先に通ってしまうと、自分の業界を見る視野が一気に広がるはずです。
保育士が転職で成功するには、一体どうすればいいのか?
ここまで保育士業界について調べてみると、
「保育士として充実した人生を送るためには、良い保育園に就職することが必要。」
「その一方で、保育業界を含む日本全体にブラック企業がたくさん存在している。」
ということがお分かりいただけたのではないかと思います。
「それでは、一体どうすれば良いのか?」
と、ここで思考が停止してしまうのも無理はありません。
「もし、自分で探しだした就職先が、知人から紹介された保育園が、評判が良いと聞いていた子ども園が、メチャクチャな保育園だったら・・・」
そう考えると、本来歩けたはずの足も止まってしまうかもしれません。
ただ、ブラック保育園が世の中にたくさんあるからといって、そこで行動を辞めてしまえば、いつまで経っても自分の理想の職場環境に出会うことはできないのです。
結論から言いますと、自分の職場環境が客観的に見てひどいと感じた場合は、転職先を探し続けることが一番の解決策になります。
これは、私自身が職場を4回変わったことや、親族・友人が数回の転職の末に理想的な職場に籍を置くことができた経験からも断言できます。
現状がダメだと嘆いて動かないだけでは、状況が変わる事はほぼないからです。
あるとすれば、自分以外の園長先生・従業員が全て入れ替わることくらいですが、あまり現実的な考えではありません。
今後も今の待遇・職場環境で我慢できれば何の問題も心配もありません。
しかし、
「このまま今の状況が続くと倒れてしまうかもしれない。」
「精神的にやられてしまって、鬱になるかもしれない。」
「自分の思い描いた保育方針と大きく違っていて、不満をぶちまけたいのに言えない。」
このような状況が続けば、未来の自分の人生が本当にダメになってしまう恐れがあります。
それは、絶対に避けなければなりません。
そこで、次に実際に私自身が体験したブラック企業からの転職時の感想や、保育・福祉にかかわる親族・友人の転職体験を簡潔に紹介したいと思います。あなたの人生に少しでも参考になればと思います。
本当に良い職場があるのかどうかは、実際に良い職場を体験しないと分からない
私の場合は、家庭環境が原因で転職を余儀なくされた経歴があるのですが、転職後に感じたのは、「どれほどひどい職場なのかは、視野が狭いと分からない」ということでした。
というのも、私が一番初めに入社した会社は、激務を当然のように強いられている環境でした。
しかし、当時は「ちょっと大変だな」と思いつつも、それが普通の範囲内なのだと思い込んでいました。
なぜならば、周りの人達も同じ環境で働いていますし、他の職場を経験していないから比較しようという発想すら起きなかったからです。
そんな世間を全く知らない私の場合は、転職を経験することによって
「ああ、前の職場はやはりメチャクチャだったんだ。そして、思った以上に良い職場というのは実際にあるんだな」
ということがやっと理解できました。
経験がものを言う?転職経験者と未経験者の体験談
冒頭で、私に保育業界や福祉業界で働く親族がいるということはお話しましたが、そこでは転職で失敗・成功の両方の体験談を聞くことができました。
ここでは簡潔にお話しますが、失敗談としては
「引っ越しを機に新しい施設に転職したが、前の職場の方が良かったから、また転職先を探している。」
成功の体験談としては、
「特にそこまで不満はなかったけれど、より休みがとりやすく、勤務時間が少ない求人を転職サイトで探して就職したら、身体的にも精神的にもとても楽になって良かった。」
というものでした。
前者は、もともといくつかの職場を知っていて、比較できるからこそ転職に前向きになれています。
なぜ前向きになれているのかというと、「今より良い職場がある」ということを経験から知っているからです。
対する後者は、そこまで強烈な不満はなかったにしろ、転職サイトを利用することで初めて職場環境に対する視野が広がったことが分かります。
ただ、一方で、転職が成功し、すぐにより良い職場環境へ移れた親族は、今の時代運が良かったと言わざるを得ません。
保育士として保育の仕事に携わっていると、
「大変すぎるくらい大変だけれど、保育士だから仕方ないよね。」
「たぶんどこへ行ってもそんなに変わらないんだろうな・・・。」
という考えが頭の中に定着してしまっていませんか?
それは、あなた自身の頭が「良い職場」と「悪い職場」を比較して理解できていないからかもしれません。
さきほどもお話しましたが、数あるブラック保育園の中から、本当の意味で雇用条件・職場環境の良い保育施設の求人を、ものの一発で見つけだすことは極めて困難です。
そして、一回失敗したからといって諦めてしまうのも言語道断です。
たくさんの求人を自分で調べ、経験値を積んでこそ、自分に合った転職先を見つけることができるのです。
「何でもちょっと行動しただけですべて自分が優遇されて上手くいく。」
保育業界だけでなく、全ての業界でこんな都合の良い話はありません。
保育士の求人を探す方法 転職に役立つ無料サービスや就職方法はたくさんある
ここまで散々「転職を成功させるのは難しい」「良い求人情報なんてめったに見つからない」という解説になってしまったかもしれません。
しかし、社会の仕組みはこうだといろんな所で決めつけられているせいで、ほんの少し行動に移しただけですぐ諦めてしまう人が多いこの世の中です。
少し厳しい世の中の現状を解説しなければ、自分の理想に近い環境を手に入れようと努力する人は少ないのではないかと思った次第です。
ただ、保育士に至っては、今は保育士不足も相まって厚生労働省認定の保育士専用の転職サービスや転職サイトがたくさん世に出てきました。
「まず、どうやって保育園の求人を探したらよいか分からない!」
待遇の良い保育士の求人を探せといっても、身近に得られる情報のハローワークや求人誌では、得られる情報が少なすぎます。
その上、本当に良い求人なのか、信頼できる企業なのか、自分の判断だけではとても区別できないはずです。
そこで、保育士の求人の探し方に悩んでいても大丈夫なように、保育士の求人の探し方から、紹介・面接・就職手続きからアフターフォローまでサポートしてくれる、便利な無料転職サービスを展開する企業が出てきています。
保育士転職サービスとは、保育士の求人情報が見られるだけではなく、自分の希望について専門員が無料で相談してくれるものです。
それだけではなく、今の職場に不満や不安を持っている人、復帰したいがブランクがあって不安な人のために、相談に乗ってくれる親切な相談員さんが在籍する転職サービスもあります。
他にも、保育施設の運営会社は、待遇の良い保育士求人を「非公開求人」として転職サービス企業に登録しています。
自分の希望条件や能力がマッチすれば、そういった良い雇用条件を紹介して食える可能性もあるのです。
もちろん、これまで言いましたように、転職サービスの中にもブラック保育園は存在しています。
就職率・離職率データが揃わない中、保育園の数は増え続けるので、それは致し方ないところです。
それでも、自分で求人を調べるだけでも勉強になりますし、数ある転職サービスの中には、自分に親身になって相談してくれる担当者に出会えることもあるかと思います。
今の職場に在籍しながら転職活動を行うことも可能です。経験を積み、根気よく続ければ、より自分の希望にあった転職先に出会うことができるはずです。
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