「保育士の待遇は悪い」というのは、保育業界や福祉業界の人達だけではなく、今や他の一般市民にも認識されています。
事実、大小さまざまな保育所で働く保育士さんからの声を聞いてみると、
「保育士は労働時間が長い・仕事が大変・給料が安いの三重苦」
「なりたい職業だったから覚悟してたけど、やっぱり苦しいところがある」
というネガティブな感想が聞こえます。
ツイッターのつぶやきなど、SNSでのやり取りが世間に広がった影響もあり、やはり皆がみんな「保育士の待遇は悪すぎる」という認識を持ってしまっているのです。
しかし、そんな待遇の悪さばかりが目立つ保育士の職場環境ですが、
「私の働いている園はそんなことない。」
「給料もそこそこあるし、残業もほぼ無しだから、内の保育園の保育士は皆のびのびしてます。」
といったような、ニュースやSNSの辛い体験談からはおよそ考えられないような保育園内の環境を話す保育士さんもいます。
保育士で待遇の良い環境は存在するのか?
そもそも、待遇の良い、職場環境の良い保育園ってどんな感じなのか?
そこで、今回は世間のイメージとは裏腹の世界で働く保育士さんの高待遇体験談についてまとめました。
保育士の高待遇ってどんな感じ?給料編(体験談)
「私は手取りで20万以上もらっています。残業も行事前の準備くらいで、持ち帰りの仕事もありません。
というのも、私の勤める保育園の場合は、企業が運営している私立なのですが、組合があるお蔭で無理な勤務体制や安すぎる給料になることはないのかな、と感じています。」
「私の職場で働いている保育士さんの年収は、年収500万を超えている人もいますし、賞与も2年目にして100万円以上もらっています。労働組合が強い立場にあるのと、経営者の理解が大きな理由の一つですね。」
「都内で保育士の派遣社員として働いていますが、手取りは毎月20万円以上は入っています。
残業については派遣社員の保育士を早く帰らせようとする園と、少しお手伝いする保育園があります。
ただ、持ち帰り仕事は当然ありませんし、残業も正規の職員さんよりも少ないです。」
「残業が少し多いように感じますが、給料は高いので満足です。
これで給料が安かったら辛かったかもしれませんが、その分給与の面で会社が応えてくれています。
給料が低い上に残業や持ち帰り仕事も多いという保育園があると聞きますが、探せば高めの給料を払ってくれる保育園は意外とたくさんあると思います。」
高待遇で満足しているという保育士さんですが、企業が運営する私立の保育園、派遣社員の保育士など結構なバラつきがありました。
ただ、企業が運営する私立保育園の場合、労働組合の力が強いことが原因で保育士の待遇が大幅に改善しているケースが見受けられます。
保育士の給料が平均と比べて突出して高いような場合、労働組合を作って保育士自身が給料を支払う側である企業・運営者たちと戦っているという場合もあるようです。
派遣社員の保育士も、給与面で言えば正規職員よりも時間的な縛りもなく、責任面でも大きな負担を強いられる可能性が少ないと、分かりやすいメリットが大きいようです。
余裕を持って働ける保育園の雰囲気ってどんな感じ?職場環境編(体験談)
「完全週休二日制で、有給休暇もきちんと消化できる職場です。
休憩は1時間取らないと怒られますし、帰りも定時で退社しています。」
「作業はみんなで分担したり、パートのベテラン保育士さんもいるので、作業系のお仕事はお願いして午睡中の早い段階で終わらせます。
サービス残業は禁止されていて、早番遅番も少しですが手当をつけてくれます。
他は大変な保育園が多いようですが、ウチの園の保育士はみんなのびのびしている雰囲気ですよ。」
「昔働いていた無認可保育園、公立保育園は残業禁止となっているのに、残業するのが暗黙の了解になっていました。
今働いている保育園は、スタッフの人数にも余裕があり、残業もほとんど無く助かっています。」
「院内保育園の勤務では、一時間は必ず休憩を取らされていました。
「それが規則ですので。もし事故があった時に休んでいないとなったら大変です。」というのが理由でした。」
「臨時から正規職員になって働いています。
今の保育園は7年以上勤めていますが、入ったばかりの頃は「変な職場だなあ」なんて思っていました。
でも、毎日働き続ける内に、段々慣れてきて今に至ります。」
職場環境についても、境遇や働く場所はさまざまです。
一点気づいた点ですが「高待遇の保育園は公立保育園のみ!」という先入観をお持ちの方もいると思います。
確かに、公立保育園の待遇面は、給料面で良いケースが比較的多いのは間違いありません。
しかしながら、実際に保育士さんの声を聞いてみると、公立保育園では残業や持ち帰り仕事が暗黙の了解になっていたりするなど、古い体制がずっと続いているという悪い面も見受けられます。
その他、パート・アルバイトの経験豊富な保育士さんと上手く協力し合って仕事を早く終わらせて、残業もなく休みも余裕を持って取れる職場環境を作り上げている保育園もあります。
本来時間が無いとバタバタするところを、仲間達と積極的に協力・分業することで時間的な余裕を生み出しています。
保育士を目指す人にとっては、
「お金はそこそこあればいいから、余裕を持って保育のお仕事をしたい。子供たちに丁寧な保育を心がけていきたい。」
とお考えの方もいらっしゃるのではないですか?
もし、お給料も少なくサービス残業が当たり前の中、休憩も食事もとる時間的余裕がないような、メチャクチャな管理体制の元で動き回っているという状況であれば、上のような雰囲気の保育園があること自体考えられないことかもしれませんね。
保育士の待遇改善に嫉妬する看護師・介護士も「なんで保育士ばっかり!」
一方、最近政府主導で進められる保育士待遇改善案について、苦言を呈する人達もいました。
「私は介護士で、保育士の安月給や激務には共感することもありました。
しかし、年々保育士ばかりがクローズアップされ、待遇改善への動きも保育士ばかりで、「他の福祉職・医療関係の職業はほったらかしなのか?」と思ってしまいます。
待遇が悪いのは介護士も一緒なのに、なぜ介護士の待遇については問題視されないのでしょうか?」
「保育園看護師として働いていますが、保育士の給料改善が目的の国の補助金が出ました。
結果、保育士の給料は全員上がり、特に副主任など新たに役職のついた保育士は総支給30前後になっているのですが、保育園に努める看護師には何の手当もありません。
こういった取り組みは良い事と思いますが、今後も保育士さんばかりが厚い手当や補助金の恩恵を受けられ、看護師はないのかと考えると、自分の先が思いやられてしまいます。」
「東京都の対応で、保育士不足を改善するために都内の保育所に保育士一人当たり2万円補助、産休明けの保育士にはベビーシッター代として最大月額28万円を助成するなどを決定したそうです。
でも、なぜ保育士だけなんでしょうか?不公平ですよね?
貧しくて苦しい生活をしている東京都職員全員にも同じ助成金を出すのが妥当だと思いませんか?」
保育士と同じく劣悪な労働環境や給料の低さなど、待遇の悪さが目立つ福祉職の方々や、最近給与が低すぎるという声も出始めている公務員からの悲痛の声が挙がっていました。
確かに、保育士ばかりが待遇改善でどんどん給料が上がっていくのを横で見ていると、不公平感極まりない気がしないでもありませんね。
保育士側から言わせてもらうと、まだまだ安月給で休みもほとんどとれない、それでいて激務で職場環境も最悪、なんていうのが多くの保育士が体験する日常ですから、逆恨みされる覚えはない!と言いたいところです。
これら保育業界への贔屓とも見られる政策が始まった経緯ですが、SNSでの保育士の体験談の拡散や、保育園の不正受給問題・待機児童問題に虐待事件など、度重なる問題が世間を騒がせてきた結果もあるかもしれません。(幼児教育がいかに重要であるか、日本国内は海外と比べてもわかっていないという面もあります。)
(参考:保育士の給料が安い理由 平均年収の比較と保育園の不正受給問題)
今後、介護士など他の業界でも日本全体を驚かすニュースが流れれば、問題解決に向けて国が動き出すでしょう。
自分の理想の保育園は必ずある
高待遇で働く保育士さんの声を聞いてみて、どうでしたか?
まだまだ保育士の求人は給与も休みも少ないように感じるかもしれませんが、引く手あまたの保育士不足の現在、確実に待遇の良い求人は増えつつあります。
高待遇で満足していると話す体験談の中には、いくつかの園を体験した結果、今の保育園に落ち着いているという方もいます。
一度ひどい環境で働いた保育士さんが「こんな良い待遇、嘘なんじゃないか」と疑っていたという人もいました。
まだまだ保育士の待遇改善は発展途上ですが、それでも以前と比較すれば補助金は増えていますし、今後も増加予定になっています。
また、今後はサービスを受ける側だけではなく、働く側の満足度も上げたいと話す企業も出てきています。
もし、あなたが今「今の職場に満足できない」「なんとかしなくては…」と現状に悩んでいるようでしたら、保育士専門のサービスに相談したり、企業の転職フェアに顔を出したり、自分で求人を見てみるなど、働きながらでも自分から行動を起こしてみるのも一つの方法だと思いますよ。
「保育士が苦しいのは当たり前」な時代はもう終わったって知ってます?保育士も二極化の時代に乗り遅れるな!
これまで「保育士が[キツイ・汚い・安い]の三重苦の仕事なのは当たり前」と見られる風潮がありましたが、すでに保育業界も二極化の時代に突入しています。
もう少し詳しく言うと、「辛くて給料安いのは当たり前だから」と当然のように保育士の待遇が悪いままにしている保育施設と、「働く環境を整えなければ、将来のための良い保育も出来ないし、保育士も育たない!」と考え、積極的に待遇改善へと動く事業者に分かれてきているのです。
保育園も、内外両方から見て魅力ある「本物の保育所」だけが選ばれる時代がやってきているのです。
この流れは今後ますます強くなっていくことは明白です。
つまり、あなたが今、自分の待遇や職場環境に大きな不満があっても、その場にとどまり続けていては、苦しい状況はずっと続くのです。
一方で、就職で良い職場に入れた保育士さんや、自分に合う保育所を探している人には、明るい未来を掴み取る可能性があります。
もし、あなたが今の環境に不満を持っていたり、これから保育士になろうと考えているのであれば、真剣に自分にマッチした保育士求人を探してみてはいかがでしょうか?
他の保育所に転職して、余裕を持って働いている保育士さんも大勢います。
あなたのちょっとした行動一つが、あなた自身の人生を大きく変えるキッカケとなるかもしれません。
保育士求人の現状と転職業界の真実(現役保育者・保育士になりたい人へ)